読む|分析コラム

セーブ率79%の守護神——歴代GKとの比較から見るバウマンの凄さ

J3からやってきた男

2026年1月、アルビレックス新潟はひとりのゴールキーパーの加入を発表した。

ノアム・バウマン。スイス出身、ドミニカ共和国代表、身長194cm。前所属はJ3のSC相模原。

新潟にとっては、2018年に加入したアレックス・ムラーリャ以来の外国人ゴールキーパーとなる。

バウマンは、スイスの下部リーグからキャリアをスタートし、FCルガーノ、セリエBのアスコリ(イタリア)、OFIクレタ(ギリシャ)と欧州各国を渡り歩いた末に、2025年はJ3のSC相模原でプレーした。

バウマンの生い立ちや、日本でプレーすることになった経緯、新潟に対する思いなどが以下のインタビューで熱く語られている。

モバアルZでの公開だったものがYoutubeで無料で公開されている。まだ見ていない人はぜひ見て欲しい。

今シーズンの新潟は、バウマンに助けられたシーズンでもあった。2025年J1最多失点で降格したチームが、守備で息を吹き返し、地域リーグラウンドを2位でフィニッシュした。その中心にいたのがバウマンだった。詳しくは、ゴール期待値の視点で振り返った記事があるのでそちらを参照して欲しい。

本記事では、2026年シーズンのバウマンのスタッツを歴代の新潟GKと比較することで、その凄さをデータの視点から紐解いていく。

数字が示す「別次元」—歴代新潟GKとの比較

2026年の百年構想リーグ、バウマンは15試合の出場でセーブ数53、セーブ率79%、1試合平均セーブ数3.53を記録した。

1試合あたりの被枠内シュートは平均4.60本に達しながら、失点は1試合平均0.93点に抑えている。

2月・3月と2ヶ月連続でWEST-A月間ベストセーブ賞を受賞し、2月のベストセーブ賞に選ばれたセーブは、地域リーグラウンドの最優秀セーブ賞にも選ばれた。

2月、3月の月間ベストセーブ賞のセーブは以下の動画を参照して欲しい。

いずれのベストセーブにも選出されていないのだが、個人的にベストセーブを選ぶなら5月6日の第15節ホーム徳島戦のこのセーブ(3分56秒付近から)である。

わけがわからない。なぜあんな至近距離のシュートをあのタイミングで抑えることができるのか。

ちなみにこのセーブの直後から、脇腹を抑えるようになり、ゴールキックも蹴っていないことから、おそらくこのプレーでバウマンは肋骨を骨折したものと推察する。文字通り、身体を張ってゴールを守ってくれた、魂のセーブである。

歴代GKとの比較

バウマンの凄さは、歴代の新潟ゴールキーパーと並べるとさらに明確になる。

これまで新潟は、代々優秀なゴールキーパーが在籍してきた。木寺、野澤、北野、東口、黒河、小島・・・名前をあげればキリがない。

以降では、Jリーグ公式サイトでスタッツが公開されている2018シーズン以降に絞って数字を見ていくことにする。

以下の散布図を見てほしい。横軸が1試合平均セーブ数、縦軸がセーブ率だ。プロットの大きさは出場試合数を示す。

バウマンは右上の空間にひとり飛び出している。今年プロデビューを果たした内山翔太も近い位置にいるが、出場試合は2試合と少ないので参考として見て欲しい。

ここで重要なのは、バウマンは2つの軸の値がいずれも高い位置にあるという点だ。

セーブ数が多いということは、すなわちそれだけ枠内シュートを打たれていることの裏返しでもある。

被枠内シュートが増えれば難度の高いシュートを止め続ける必要があり、通常はセーブ率が下がりやすくなる。

それでもバウマンは1試合平均4.60本という枠内シュートを浴びながら、その79%を止めているのである。

「浴び続けながらも止め続ける」——GKとして最も評価される姿がここにある。

近年の新潟の絶対的な守護神といえば、小島亨介(2020〜2024)だろう。散布図を見ても、セーブ率70%超を安定して発揮していることがわかる。その小島と比較すると、バウマンのプロットの位置がどれだけ別次元かがわかるだろう。

バウマン自身の成長

さらに注目したいのが、バウマン自身の進化だ。

2025年、SC相模原でのシーズン、32試合に出場、セーブ率70%、1試合平均セーブ数2.72、1試合平均被枠内シュートは3.94本、失点1.16。

J3では十分すぎる数字だったが、J2・J3百年構想リーグでの2026年、その数字はさらに伸びた。

もちろんチーム自体が異なるし、チームとしての戦い方も大きく異なるため単純比較はできないが、2025シーズンと比べると被枠内シュートは増え、GKへの要求は厳しくなった。それでもセーブ率は9ポイント上昇し、失点は減っている。百年構想リーグでは、J3に加えてJ2勢も加わり相対的にリーグのレベルが上がったことを考慮すると、新潟でのバウマン自身のパフォーマンスは大きく向上したと言っていいだろう。

26/27シーズン——ともにJ1へ

6月24日、新潟はバウマンとの契約更新を発表した。来季も彼がビッグスワンのゴールを守ることが決まった。

圧倒的なパフォーマンスを見せたとは言え、バウマン自身は今シーズンのパフォーマンスに納得していないだろう。

5月6日の徳島戦で左肋骨を骨折し、全治約3週間の負傷離脱を余儀なくされ、シーズン後半を棒に振った。

J2・J3WEST-Aで得票数トップのオールスターも辞退せざるを得なかった。

その悔しさを来シーズン、ピッチの上で存分に晴らしてほしい。

セーブ率79%という数字を土台に、どんな進化を見せてくれるのか。大いに期待したい。

-読む|分析コラム